「さんぽ鹿児島」メールレター 第174号 ≪相談員からのメッセージ≫
「ぜいたくはてきだ」 |
猛月暑日。とある診療室にて。
ウツ病にかかりやすい人の特徴を説明しようとする医者がいる。
「学校でパヴロフの条件反射って教わったよね」
耳を傾ける患者は、怪訝そう。
説明をパヴロフから始めるのがそもそも爺くさい、
ということに気づいていない医者も問題なのだが。
パブロフの条件反射‐‐犬の給餌と同時にベルを鳴らすことをくり返すと、
最終的にはベルの音だけでも(給餌が連想され)犬は流涎するようになる--。
条件反射は、状況に対する順応的な発想の固定化と言って良いだろう。
だから状況が変化すれば、新しい別の発想に置き換えられていくのだろうか。
それがつまり大人の状況に順応した大人の発想から見ると、子供の時代の発想は
子供ジミタ(ラシイではない)発想と思えてしまうということなのか。
たとえば
「なぜ今でないといけないの? 時間はいっぱいあるじゃない!」
「考えるのは 困ってからで良いじゃない!」
「ひとと比べないで!」
だけど、この子供ラシイ考え方って魅惑的ですよ。たまにそう言って
みたくなります。大人になっても。たまには子供ジミタ<発想の転換>。
そそられます。そう思います。特にウツになりかけたとき、きっと。
そういえば
ここは銀座。第二次世界大戦のさなかのある朝。店前に貼られたポスター
「贅沢は敵だ」の、「は」と「敵」の間に「素」と落書きしてあったそうな。
きっとそれは戦時中の<大人になった子供?子供になった大人?>の
命を懸けた発想の転換。
「さんぽ鹿児島」メールレター 第174号 掲載原稿
(2017年 - 9月号)