産業保健相談(メンタルヘルス相談事例)
Ⅰ.はじめに |
鹿児島産業保健推進センターで施行している多くの事業の一つに
「産業保健相談」があります。
これは、産業保健に関するあらゆる相談に専門スタッフがお応えする、という事業です。様々な分野(産業医学、労働衛生工学、メンタルヘルス、カウンセリング、保健指導、労働衛生関係法令、その他)の専門家が揃っておりますので、産業保健に関するご相談ならどんな内容にもお応えできる体制になっています。
しかし残念ながら、認知度があまり高くないのか、
利用される方はあまり多くない(とても少ない?)ようです。
そこで今回は、当センターへの実際の相談事例の中から、二つの事例をご紹介することにします。会員の皆さまが、今後当センターをご利用になる際、何かの参考にしていただけたら幸いです。
Ⅱ.職場の衛生管理者による来所相談 |
職場は、社員100人の製造業。
事例は、48歳女性、流れ作業に従事する工員。
職場の同僚および上司からの相談内容は以下の通り。
始業(ベルトの始動)時刻に門をくぐり、
終業(ベルトの停止)時刻には門を出る。
従って、事例の従事するベルトが他のベルトの進行の妨げになる。
就業中、自分の役割だけはきちんと仕事するが、休んだ同僚の分を皆と分担するなど、「臨機応変」という事態には頑として応じない。
そのため同僚と言い争いになったことも数回ならず、取っ組み合っての喧嘩にベルトが止まったこともある。
上司が意見しても黙って俯いているだけで、態度はいっこうに変わらない。
何とか指導の方法はあるだろうか。
この相談に対し、衛生管理者、管理監督者が、事例の状況について、
事例だけでなくその家族とも話し合う機会を持つことを勧めました。
その結果、夫の「アルコール依存症」が判明し、夫の治療を援助する過程で、事例も上司の意見を次第に受け容れていくようになった、ということでした。
Ⅲ.産業医による電話相談 |
従業員50人の会社の産業医からの電話相談です。
事例は、職場健康診断の結果、高血圧の詳しい検査と治療を勧められて受診した。
しかし、ただの高血圧ではなく、
どうもうつ状態のようなので、近所の精神病院への受診を勧めたが受診したがらない。
うつ病の外来治療が可能な近くの適切なところを教えて欲しい、という相談でした。
事例の住居地の近くにある精神科クリニックをご紹介しました。
Ⅳ.おわりに |
ご紹介した事例の他に、労働者自身が相談に来所されるケースもあります。
産業保健に関するご相談を、お待ちしております。
鹿児島産業保健推進センター
℡:099-223-8100 URL:http://www1.biz.biglobe.ne.jp/~sanpo46/
鹿児島県医師会報「産業保健の話題」
2003年9月