メンタルヘルス

摂食障害(特にダイエットとの関連について)

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<痩せを来す原因>
1.消化管疾患  
2.悪性腫瘍  
3.内分泌疾患  糖尿病、甲状腺機能亢進症
4.精神神経疾患  摂食障害、うつ病、精神分裂病、
 境界例、アルコール依存


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1.定義(ICD-10による)



摂食障害(Eating Disorders)

神経性無食欲症(Anorexia nervosa)

A 体重減少は(子供では通常のように体重が増加せず)、
標準体重あるいは年齢と身長から期待される体重より少なくとも15%下回っていること。
体重減少は、「肥るような食物」を自らが避けることによって招いた結果である。
肥満に対する病的な恐怖を伴った肥りすぎというボディイメージの歪みであり、このために体重の許容限度を低く設定して
自らに課す。
視床下部-下垂体-性腺系を含む、広範な内分泌障害が顕症化する。それは、女性では無月経によって、男性では性的な関心と性的能力の喪失によって確認される(明らかに例外的なものとして、避妊薬に代表されるホルモンの補充療法を受けていると、神経性無食欲症の女性でも持続的な性器出血を見ることがある)。
神経性大食症の基準A項、B項を満たさないこと。


非定型神経性無食欲症

神経性大食症(Bulimia nervosa)

短時間の間に大量の食物を消費する過食のエピソードを繰り返すこと(週2回以上の過食が少なくとも3ヶ月間)。
食べることへの頑固なこだわり、および食べることへの強い欲求または脅迫感(渇望)。
患者は、次に示すうちの1項目以上のことで、食物の肥る効果に対抗しようと試みる。
(1)自己誘発の嘔吐
(2)自発的な下剤使用
(3)交替性にみられる絶食の時期
(4)食欲抑制剤や甲状腺製剤または利尿剤のような薬物の使用。糖尿病患者が大食になると、インシュリン治療を故意に怠ることがある。
肥満に対する病的な恐怖を伴う、肥りすぎというボディイメージの歪み(結果的に痩せ気味のことが多い)。
神経性大食症の基準A項、B項を満たさないこと。


非定型神経性大食症

他の心理的障害と関連した過食

他の心理的障害と関連した嘔吐

他の摂食障害

摂食障害、特定不能のもの

a.拒食症
1)標準体重の85%以下の痩せ
2)体重増加に対する恐怖
3)体重次第で自己評価が変わる
4)ボディーイメージの障害
 (痩せているにもかかわらず、太っていると、)
5)無月経(女性)
b.過食症
1)無茶食い
2)そのとき、自己制御できない感覚
3)嘔吐、下痢


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2.頻度 3.症状(気づかれる前の症状)



2.頻度

有病率統計 10~20代女性で、約1000人に一人
(過食が拒食の3~5倍多い)

(馬場謙一; 現代社会と精神障害,pp21-27,ライフサイエンス社



3.症状(気づかれる前の症状)

(拒食の初期症状)
1)体重や体型のことが頭から離れず、気が重い
2)体重が減ると、自信が湧いてくる
3)肥ったと感じたら、食事を抜くことがある
(過食の初期症状)
1)ホッとしたり、イライラしたり、寂しかったりすると、お菓子が欲しくなる
2)そんなとき、食べ始めると、やめられない、とまらない
3)でも、肥るのは怖いから、時々ダイエットをしようと思う

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4.治療



①食行動改善への働きかけ
・三食はできるだけ規則正しく食べること
・間食はしない
・コンビニに近寄らない
・身近におやつを置かない
・質の良い睡眠(真夜中に過食する例が多い)
・うまくできた時のイメージを頭に置く努力
 (イメージトレーニング)
[1日のリズムを心と体で改善する]
②背後の心理面への働きかけ
・人付き合いの方法が未熟
・周囲の状況に自分を合わせようとしすぎる傾向
・自分に対する、否定的捉え方
・周囲の人に対する不信感、など
[通常診療での指導で改善しない場合は、専門医に]

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5.原因、きっかけ
6.年齢
7.性別
8.摂食障害から発展する病態



5.原因
ダイエットがきっかけになることが大半だが、
気晴らし食い」がきっかけになることもある。

マスコミなどによる様々な情報に動かされやすい時代傾向も関係あるだろう。(エステ、ダイエット)

6.年齢
昭和50年代には、高校生が中心といわれたが、最近は、下は小学生から30代の主婦層にも広がりを見せる傾向が指摘されている。



7.性別
女性例が大部分だが、十数年前から男性例が報告されるようになった。

8.摂食障害から発展する病態
合併症 骨粗鬆症(腰背部痛、身長の短縮、骨脆弱による骨折)
拒食から急に食べ出すと、心臓(心不全)、胃(胃破裂)に負担がかかる。


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9.特徴



過食が拒食の3~5倍多い。
マスコミによる「痩せ」礼賛や、エステ・ブーム、ダイエット・ブームの影響も大。
(細い身体を礼賛する<折り込みチラシ>の多いこと)
一生懸命汗を流して働く習慣・文化への過度の「反省」や「嫌悪感」も
関与してはいないか

一般内科、心療内科、神経内科、小児科、婦人科、精神科、心理カウンセラー
など、いろいろな科を転々と受診することも特徴的。


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10.最近の傾向



初発年齢の低年齢化、高年齢発症例も増加傾向、男性例も増加
当院では、開院以来、初心者に占める摂食障害の診断は約3%
(案外多いというべきなのか?)

当院では、全員女性で、男性例はない

年齢 15~32歳

過食傾向の人は自分から治療を求めて来ることが多い
拒食傾向の人は家族や主治医から勧められて来ることが多い
(拒食傾向の人の治療中断率は高いようだ)


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11.顕症化する前の症状



<肥満への恐れ・嫌悪>が多かれ少なかれ存在する。

拒食顕症化前症状
 ・体重や体型のことが頭から離れず、気が重い
 ・体重が減ると、自信が湧く
 ・肥ったと思うと、食事を抜く
 ・そのうちに満腹感や空腹感が分からなくなる
過食顕症化前症状
  ・ホッとしたり、イライラしたり、寂しかったりすると、
   お菓子に手が伸びる
  ・食べ始めると、やめられない、とまらない・・・・
   でも、肥るのは怖いから、時々ダイエットをしようと思う


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