メンタルヘルス

「さんぽ鹿児島」メールレター 第213号 ≪相談員からのメッセージ≫

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「秋の異変」

      鹿児島産業保健総合支援センター 産業保健相談員 大迫 政智

今年は、春から変だった。

定例仲間の食事会も1月に新年会をしたっきり......。

それはもちろん昨年11月下旬に中華人民共和国湖北省武漢市で発生した新型コロナ(COVID-19 ; COronaVIrus Disease 2019)が、今年1月末には世界への広がりを見せ始めて以後「三密回避」が予防の基本と知られたからだ。

クリニックでも受付の透明シールド、消毒液の設置、マスクの確保等々、周囲の様々な人の助けを借りながら大わらわだった。

例年5~7月にかけて受診するのが通例の5月病だが、今年はあまり出くわさなかったのに始まり、「人混みには出たくありませんから」と受診控えの続いて迎えたこの秋になって、異変はノッソリとその首をもたげた。

「5月病そっくりさん」の受診が増えたのだ。

今年は春から学校は休校続き、そのあと遠隔授業。会社も時差出勤やテレワーク。この春は5月病の起こる条件が揃わなかったのだろう。夏休みを終えた9月頃から、授業も出勤も徐々に再開し始め、ここに至って5月病の条件が揃い始めたということなのかもしれない。

春のころ「遠隔授業なので授業を受けられます」と報告する不登校の子もいた。秋になって「みんながマスクする世の中なので外出しやすくなりました」と報告する社会不安障害の人もあった。

コロナ禍も、まさに悲喜こもごもという様相なのである。

さて冬が来る。

初秋のTVワイドショーでは「新型コロナウィルスの知見は出揃ったので過度の不安は不要」と言う識者もいた。今この冬の木枯らし乾燥期、インフルエンザの季節を迎えて、慢心を戒める識者ばかりになった。

あの春の異変がこの冬の異変へと拡大増加しないように、手洗い・うがい・マスク・三密回避etc、どの職場でも可能な限りの予防を心がけるようにしたい。


「さんぽ鹿児島」メールレター 第213号 掲載原稿
(2020年 - 12月号)

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