メンタルヘルス

うつ状態、休職、そして職場復帰

title_circle
content_haikei01
mental_icon01

Ⅰ.休養



うつ状態には、そうなりやすい性格傾向がある、とよく指摘される。

真面目・神経質・几帳面で、その日その日の物事にキッチリけじめをつけておきたい「完璧主義タイプ」というのがそれである。
あるいは、自分なりの理想に沿ったやり方を好み、そのため課題をつい自分の持ち場で留め、背負い込んでしまいがちな人も、そのタイプに入るだろう。

前者は、
仕事の完成度が高いことが評価され昇進すると、自分の仕事量も増えるし部下の面倒も見なくてはならなくなる。
その日その日で仕事をキッチリこなせなくなってくるため、総てを完璧に以前と同じようにこなそうとして結局寝る時間がなくなる、という形で破綻を来しやすいとされる。

後者には、
その他に、背負い込んだ仕事がどうにかやっと片づいて、フーとついた溜息とともに気力が萎えてしまう、という形の破綻も認められる。

何れにしても、消耗の度合いはかなり強くなってから他者に症状が気づかれることが多い。従ってひとまず、何はともあれ休養をとることが必要なことは自明のことと思われるのだが、この人たちはそれまでも休養をとるのが下手だった人たちである。
休養ということに価値感を見出せない人とも言える。休養の必要性を話し合うことは手間が掛かるが必須の過程といえる。


content_haikei02
content_haikei01
mental_icon01

Ⅱ.そして職場復帰



さて、休養の甲斐あって症状が改善すると、職場復帰ということになる。

職場復帰の仕方に公式などはないが一般的には、休職前と同じ職場に復帰すること、段階的に仕事量を元に戻していくこと、などが望ましいことはほぼ共通理解項目と考えて良いだろう。

種々の状況に配慮して職場復帰を試みたつもりが、うまくいかないケースもたまにある。職場復帰を焦る本人の強い意志に、知らぬうちに主治医が根負けしてしまう場合などがそうだろう。そのような場合、職場上司や産業医との連絡や相談が得られれば、もっと円滑に職場復帰が叶うことも多いだろう。

この際に軽視してはならないのは、プライバシーの問題である。連絡や相談の前には、その「目的」「話して欲しくないことの確認」など、必ず本人の了解を得る必要がある。

一方で考慮しなければならないことに、本人の職場の特殊性がある。他者の生命や財産に重大な影響を及ぼすような場合である。この場合でも、
「職場復帰が困難である」という主治医の意見を職場に説明しない訳に行かないということを、本人に説明すべきだろうと思う。

そのような職場から本人の了解なく病状説明を求める電話が来たとしても、本人に了解を求めてから電話してくれるように、と告げるべきなのだろうと私は思う。

この辺りのマニュアルとして平成16年10月厚生労働省から
資料「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」も発行されたことを付記しておく。


鹿児島県医師会報「産業保健の話題」
2005年02月 

content_haikei02